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INTRODUCTION

アストル・ピアソラ & オラシオ・フェレールの金字塔

タンゴの革命児と呼ばれるアストル・ピアソラが、詩人のオラシオ・フェレールと組み、便宜上「オペリータ(小さなオペラの意)」と呼んだこの組曲「ブエノスアイレスのマリア」は1968年5月8日から8月末までブエノスアイレスの劇場で作曲者本人によって初演された。インスト曲3曲、歌と朗読入り13曲からなる。公演自体は高く評価されたが、商業的には厳しいものであったとされる。しかし、この演目がピアソラのそれまでの集大成であり、現在でもこの組曲の中から取り出して演奏されることも多い「フーガと神秘」などを含んでいたことからも分かるように、ピアソラの人生を語る上でも非常に重要な作品であることは間違いない。

マリアはタンゴそのものを擬人化した存在としてして描かれており、全編に渡り、場末感と悲しみが空気を覆うが、本編で語り部として登場するドゥエンデのナンバーなどが救いのように存在する泣きのピアソライズムが光る。また、「受胎告知のミロンガ」というナンバーからも分かるように、聖書に登場するマリアをかけて彼女は存在している。非常に抽象的な物語ではあるが、一度触れると何かグッとくる世界観に、今も世界中の人々がハマっている。

あらすじ(斎藤充正氏著「アストル・ピアソラ闘うタンゴ」より)

(一部)

荘厳なテーマに乗せてドゥエンデがマリアの声を呼び寄せる。マリアはギターの爪弾きにとって登場し、吟遊詩人とドゥエンデがマリアの生い立ちを物語る。マリアは1週間で成人を迎え、夢見る雀のポルテーニョ(ブエノスアイレスっ子)が彼女の人生を語る。マリアは生まれた街を去るが、逃げ込んだ夜の世界でバンドネオンに堕落させられる。ドゥエンデはバンドネオンと決闘するが、マリアは下水溝の地下に落ちて死んでしまう。

 

(二部)

マリアの葬儀から始まる。マリアの肉体は埋葬されるが、その影はブエノスアイレスをさまよい続け、下町の街路樹や煙突に手紙を書いたかと思えば、精神分析医のサーカスでありもしない想い出を語らせられる。マリアに惚れていたドゥエンデはマリアの影を探し求め、マリアの影はやがてドゥエンデの子を身籠もる。そして日曜日の朝、マリアの影が生んだ子供は、もう1人のマリアだった。

​『ブエノスアイレスのマリア』について

2021年ピアソラ生誕100周年のクリスマスに、「ブエノスアイレスのマリア」を、歌劇としては日本で初めて私主宰のTango Querido(タンゴケリード)で上演したのだが、一年がかりでその公演の様子をおさめたライブ盤CDが完成した。

この作品のあらすじは、1968年当時不遇の時代を迎えていたタンゴを擬人化して描かれた主人公マリアが、苦しみと悲しみを背負って死んでしまった後も影として街に漂い、最後は処女でありながら新しい命を生む、というもの。マリアはタンゴそのものだととらえると、この作品のいろんなところが腑に落ちるようである。

 

作品中随所に感じられる祈り。3人の博士や羊飼いたちが、キリストの生誕をつつましく祝った最初のクリスマスのように、ブエノスアイレスの場末の祈りを込められたマリアから生まれたものは、他でもない、やはり『タンゴ』そのものだったのだ。ピアソラとフェレールが生き続けるよう祈りを込めたタンゴ、そしてピアソラの音楽が、この後100年、200年後もずっと普遍的に生きていることを願ってやまない。

Tango Querido 代表 柴田奈穂

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